乳腺炎
授乳中に多く、母乳がたまりすぎたり、細菌が乳首の小さな傷から乳房の中に入って起こります。
症状
乳房が赤く腫れて熱くなり、痛みもともないます。ときに発熱することも。乳房の腫れや赤みがあり、あまり痛みをともなわない場合は、がん(炎症性乳がん)の可能性もありますので注意が必要です。このほか授乳期以外で、乳輪の内側に膿がたまり、乳輪が赤く腫れて膿が出る場合は、乳輪下膿瘍という病気で慢性化することもあります。
治療法
乳腺炎なら、抗生物質などで感染や痛みを抑えます。炎症が強く膿がたまってしまったときには、切開して膿を出すこともあります。
乳腺症
乳腺の病気のなかで最も多い良性の症状です。多くの場合、病気ではなく、女性ホルモンの影響によって起こる女性特有の乳腺の変化で、生理的なものなので心配はいりません。
症状
特に生理前に乳腺がかたく腫れ、痛みを感じます。生理が始まると徐々にやわらいでいきます。乳腺が張って、しこりのように感じることも。
治療法
多くの場合、病気ではないので、治療の必要はありません。ただし、自己判断でしこりや痛みを乳腺症と決めつけるのは危険です。気になる症状があったら、必ず乳腺の専門医を受診しましょう。
のう胞
乳腺の中に液体のたまった袋ができることがあり、しこりのように感じることがあります。これは乳腺症の一種です。
症状
生理前にしこりができ、生理が始まると小さくなることも。
治療法
のう胞であれば安心。特に症状がひどくなければ治療は必要ありません。大きなのう胞で痛みがあったり、しこりが気になる場合には、中の液体を吸い取って小さくすることもあります。乳腺症と同様、しこりが良性か悪性かを専門医に見極めてもらう必要があります。超音波検査ですぐ診断が可能です。
乳腺線維腺腫
10代後半~30代の若い世代にできる良性の腫瘍です。
症状
しこりを触るとかたくてクリクリとよく動くのが特徴。
治療法
しこりが小さいときは特に治療の必要はありませんが、しこりが急に大きくなったり、痛みなどの症状が強いときには、しこりだけを切除する手術が必要なことも。しこりが自然に消えることはありませんが、閉経を迎え年齢を重ねるにつれて、小さくなり、わかりにくくなります。
葉状腫瘍
線維腺腫とよく似た、若い世代に多い、良性の腫瘍です。
症状
しこりが急に大きくなることが特徴。しこりがソフトボール大くらいになることもあります。
治療法
基本的には良性の腫瘍ですが、なかには悪性のこともあります。大きくなるための葉状腫瘍と診断された場合は、手術で切除する必要があります。
乳管内乳頭腫
母乳が通る管が乳管です。乳房には15~20本の乳管が通っていて、この管にできるポリープのような良性の腫瘍です。
症状
乳首から血液の混ざった分泌物が出たり、乳房のしこりを感じたりすることもあります。
治療法
詳しい検査をして、がんでないことがわかれば、乳頭腫が大きくならないか経過を見ていきます。血の混じった分泌液が多い場合は、乳管内視鏡で切除したり、手術で腫瘍の一部と乳管の一部を切除します。