毎年9万人の女性が乳がんになっています
日本では、乳がんにかかる女性は年々増えており、今では年間約9万人の女性がかかると推定されています。
また亡くなる方も、ここ50年間で7倍近くに増えています。
2021年には1万5千人弱の方が亡くなりました。
女性の全年齢層では胃や大腸のがんで亡くなる方が多いのですが、30歳から64歳の壮年層では、乳がんが死亡原因の第1位となっています。
また若い年代の乳がん死亡率が年々上昇しています。20代でかかる方も少なくありません。若いときから乳がんへの関心を持つことが非常に大切です。
早期発見で9割は治癒!
乳がんは、乳腺と呼ばれる組織に発症するがんです。
リンパ節や血液の流れを通じて肺や骨に転移する可能性もある全身病ですが、一般的に治療後の経過はよいといわれています。
現在は、治療技術の発達や新しい薬剤の開発によって、ごく早期に発見して適切な治療をうけると、9割は治癒するようになっています。
乳がんとは、どんな病気ですか?
乳がんは、乳房の内部にある乳腺にできる悪性腫瘍です。
乳房は大きく分けて、「皮膚」「脂肪などの皮下組織」「乳腺」からなっています。乳頭を中心に木の枝のように放射線状に広がっているのが乳腺で、その乳腺葉の内部に、母乳をつくる小葉とつくられた母乳を運ぶ乳管があります。
乳がんの多くはこの乳管と小葉の上皮細胞に生じます。
乳腺は乳房の大部分を占めているため、乳がんは乳房のどこでも発症する可能性がありますが、発症部位として比較的多いのは乳腺が最も大きい乳房の上部外側とされています。
乳がん細胞が乳管の壁の内側にとどまっている状態である非浸潤がんは生命に危険をもたらさない早期がんです。乳房の変化に気づかずに放置していると、がん細胞が乳管の壁を突き破って周囲の組織に広がり、浸潤がんと呼ばれる段階になります。この段階になるとリンパや血液の流れにのって、肺や肝臓、骨などほかの臓器に遠隔転移しやすくなります。